T大学紹介 『東京歯大 市川の近況とこれから』
当院眼科 講師 冨田大輔先生
・2024年度手術件数2786件(うち白内障手術1765件、角膜移植232件)
・当院に特徴的な白内障:角膜混濁例、角膜内皮減少例、水疱性角膜症例
・翼状片手術:通常例からハイリスク例、再発例まで対応
・新しい角膜移植(ビズノバ):成熟分化培養ヒト角膜内皮細胞
・自家培養上皮シート移植:ネピック、オキュラル、サクラシー
・患者様のご紹介をよろしくお願いします
U特別講演 『増加する小児近視への挑戦:予防、治療、そして未来』
東邦大学医学部眼科学講座 講師 松村沙衣子先生
・シンガポールは近視疫学研究のメッカ:成人〜小児近視コホート研究、親子バースコホート研究と多岐にわたり研究されている
・近視における網膜伸展モデル:赤道部拡大、後極部拡大→軸方向拡大モデル
・眼球楕円化に関連する因子として、多変量解析により中華系人種で楕円になりやすいと判明(サブグループ解析で非近視眼でも中華系で楕円になりやすいと判明)
・高度近視(眼軸長26.5mm以上)合併症:近視性黄斑症(38.9%)は増加傾向、近視牽引網膜症(年齢関係なく強度近視でリスク↑)
・近年、近視発生年齢の低下が問題となっており、環境因子の改善やリスク児の早期発見といった一次予防が大事:スマホ使用で近視進行を認める
・未就学児の近視有病率の検討を行い、両親の近視歴(両親とも高度近視の場合リスク11倍)、1時間以上のスクリーン視聴歴が近視早期発症率に関与していると判明
・予防対策:デバイス制限(1時間以下)、2時間以上/日の屋外時間でリスク低減、2000ルクス以上の照度でリスク低減(屋外でないと得られない、しっかりとした紫外線対策をしたうえでOK)
・二次予防:できるだけ早期から近視抑制治療の介入が必要
低濃度アトロピン点眼:濃度依存性に効果(0.005%高濃度で羞明出ることがある)、リバウンドもあるため0.025%が使いやすい
オルソケラトロジー:早期年齢開始で効果大、点眼と併用も推奨、角膜感染症発症リスク(5.4/10000症例:高いTP症例、不適切なレンズ使用)
多焦点SCL治療(EDOF:過矯正にならないよう、乱視度数に制限+)
Red light therapy:オルソと併用可、低濃度アトロピン点眼中や網膜疾患例で禁忌
近視管理眼鏡(DIMS等)
⇒どの治療も脈絡膜に関連(脈絡膜厚:近視眼では脈絡膜菲薄化、血流↓)
⇒併用療法(オルソK+低濃度アトロピン点眼)が最も効果的:眼軸抑制効果+、脈絡膜厚増加、血流増加